日程・場所
三重県・鈴鹿サーキット(1周=5.821km)
2023年5月20日(土):公式予選・JSB1000・ST600レース1 天候:雨のち曇り コース:ウエット・ドライ
21日(日):決勝・JSB1000・ST600レース2 天候:晴れ時々曇り コース:ドライ
水野涼、渡辺一馬、JSB1000、ST1000で揃って表彰台を獲得。
シリーズ第3戦を迎えた全日本ロードレース選手権は、早くも今回が前半戦最後のレースとなった。JSB1000クラスとST600クラスは2ヒート制となり、土曜日に公式予選とレース1、日曜日にレース2が開催された。またアジアロードレース選手権(ARRC) ASB1000クラスにAstemo SI Racing with Thai Hondaからエントリーしているパサウィット・ティティワララックがST1000クラスにスポット参戦した。
前戦の鈴鹿2&4レースはJSB1000クラスのみの開催であったため、ST1000クラスとST600クラスはSUGO戦が2戦目となる。また前週に実施された事前公開テストでは気温の低い日があったものの、快晴に恵まれ精力的にマシンのセットアップを順調に進めることができた。
しかしレースウイークに入ると不安定な天候に悩まされることになる。初日の金曜日は、ハーフウエットからドライ、そして雨が降りウエットと路面コンディションも目まぐるしく変わった。
翌土曜日は天候が回復するという予報もあったが、朝まで雨は残りJSB1000クラスの公式予選はウエット・コンディションでのタイムアタックとなった。
水野涼はマシンのセットアップを大きく変更し、グリッド5番手を獲得した。チームメイトの作本輝介は、ウエット・コンディションでペースを上げることができず16位で予選を終える。
ST600クラスもウエット・コンディションの予選となり、ブラパは23位となった。
ST1000クラスの予選はハーフウエットからドライに変わっていく難しいコンディションで行われた。路面が乾くことが予想され、セッション終盤の勝負になることは明らかだったが、リスクもあった。その中で渡辺一馬は、計測最終周にベストタイムをマークし2番手に躍りでた、パサウィットは19位で終えた。
JSB1000クラスのレース1は22周で争われた。水野は好スタートを切るとヤマハファクトリーの2台に追従する。4周目には岡本選手をかわし2番手に浮上した。一方、後方グリッドから追い上げていた作本は、4周目に7番手まで順位を上げたが、5周目の4コーナーで痛恨の転倒。そのままリタイアとなってしまう。
水野は6周目に1つポジションを落とした後は単独走行となっていくが、後方との距離を測りつつ周回を重ね、見事3位でゴール。今シーズン初の表彰台を獲得した。
レース2では、水野がスタートで出遅れてしまう。
そして2周目にはその背後に作本が追いついてくる。その後は2人揃ってペースを上げ津田選手をパスし、それぞれ5―6番手にポジションを上げると、いよいよ前を走る清成選手と⻲井選手を射程内に捉え、レースは4台による熾烈な3番手争いが繰り広げられる。
作本が水野をパスすると7周目には⻲井選手もパスする。これに水野も続き、レース終盤には、さらに清成選手もパスしてチームメイト同士による3番手争いとなる。
しかし最終ラップのSPアウトコーナーで2人がワイドに膨らんでしまったすきに、清成選手と⻲井選手にパスされてしまい、レースは作本が5位、水野が6位という残念な結果で終わった。
ST1000クラスの渡辺は、3台による2位争いを繰り広げる集団の中でレースを戦った。最終ラップのシケインで國峰選手にパスされるが、コントロールラインまでに抜き返し2位でフィニッシュした。スポット参戦のパサウィットは、12番手を走っていたが9周目にクラッシュしリタイアした。幸いにもライダーにケガはなかった。
ST600クラスのレース1を19位で終えたブラパは、レース2ではターゲットとしていたポイント獲得を目指した。24位からのスタートではあったが、3周目には16番手を走行、しかし5周目のSPインコーナーで縁石にマシンをヒットさせてしまい転倒。悔しいリタイアとなった。
ライダー・監督コメント
伊藤真一 チーム監督 Shinichi Ito Team Manager
今回も現地に応援に駆けつけてくださった方、YouTubeを通してチームを応援してくださった方、すべてのファンの皆様に感謝いたします。JSB1000クラスでは、レース1で水野が表彰台を獲得、チームとしてまず1つ目のターゲットをクリアすることができました。
レース2は、4台による熾烈な3位争いが繰り広げられる中、3―4位でレースフィニッシュまであと一歩のところでした が、残念ながらSPコーナーでスキをつかれ5―6位でレースを終えました。
今回のレースでは、このような激しいバトル内でのレースの攻略方法という新しい課題も見えてきました。渡辺は最終コーナー立ち上がりで競り勝って2位表彰台獲得、チャンピオンシップを考える上では良い結果だったと思います。次戦では昨年の再現(ダブル・ウイン)を期待しています。
ST600クラス、2戦目のブラパはマシンにも慣れてきており才能の片鱗を見せています。さらに高いパフォーマンスを発揮できるように、ポテンシャルの高いマシンの準備だけでなく、ライダーとしての成⻑もチームとしてもサポートしてまいります。
パサウィットはARRC SUGOラウンドに向けた実戦テストも兼ねたスポット参戦でした。レースはリタイアという結果に終わり残念でしたが、彼には1000ccマシンのさらなる経験が必要です。そして今回の経験が来月開催されるレースでの結果に結びつくように引き続きバックアップしていきます
JSB1000 #4 作本輝介Kousuke Sakumoto
Race 1 予選16番手(タイム:1分42秒182)決勝:DNF
Race 2 予選14番手(タイム:1分42秒360)決勝:5位
SUGOは好きなコースで、事前公開テストからまずまずの調子で走ることができました。
しかしボクはJSB1000クラスにスイッチしてからまだ雨を攻略できておらず、今回もウエット・コンディションとなった 公式予選で苦戦し、グリッド位置が後方になったことで、さらにレース展開を厳しくなりました。レース1は僕のミスにより序盤にクラッシュしてしまいました。レース2では、次々と前者をパスして3番手までポジションをあげることができました。さらにペースを上げて逃げたかったのですが、思うような走りができず、最後は5位でフィニッシュラインを通過しました。前半戦はコンディションに左右されることも多かったので、後半戦では改善して、まずは表彰台に上がりたいです。
JSB1000 #36水野涼 Ryo Mizuno
Race 1 予選5番手(タイム:1分42秒182)決勝:3位
Race 2 予選8番手(タイム:1分41秒116)決勝:6位
開幕戦から2戦を終えた時点でチームと話し合い、今回のSUGOラウンドで大きくマシンのセットアップを変更しました。事前公開テストは、天気もよくトライ&エラーをしながらも、マシンのフィーリングは良くなってきました。レースウイークに入り不安定な天候になりましたが、マシンはうまく機能してくれていました。そして迎えたレース1では表彰台に上がることができ、最初のターゲットをクリアすることができました。
この流れをシーズン後半戦につなげていきたいです。ヤマハ・ファクトリーとの差はまだありますが、鈴鹿8耐のように⻑時間走行できる機会に、いろいろ試していきたいと思っています。
ST1000 #1 渡辺一馬 Kazuma Watanabe
Race 予選2番手(タイム:1分29秒523)決勝:2位
優勝できなかったことは悔しいです。しかし最終ラップのシケインで抜かれながらも、立ち上がりで抜き返すことができたのは、バイクのおかげです。
このような速いバイクをチームが用意してくれにもかかわらず、優勝できなかったことは、ライダーとしてはなおさら心残りです。これまでに2戦連続して表彰台に立つことができていますが、それは僕が本当に望むものではありません。3連覇を狙うためにも表彰台の真ん中を狙っていきます。次戦は、鈴鹿8耐明けとなるオートポリス・ラウンド。昨年はダブル・ウインという好成績を残しているので、今年もそれを再現したいと思っています。
ST1000 #47 パサウィット・ティティワララック Passawit Thitivararak
Race 予選19番手(タイム:1分31秒977)決勝:DNF
今回はARRC SUGOラウンドを見据えたテストも兼ねた全日本ST1000クラスへのスポット参戦でした。ARRC第2戦マレーシアから連戦となるハードなスケジュールでしたが、チームは僕に全日本用のマシンを準備してくれたことに感謝しています。
あいにく天候には恵まれませんでしたが、約1年振りに走るSUGOのコースは楽しいものでした。レースはトップ10フィニッシュを目標にしていましたが、9周目にコースアウトしリタイアしてしまいました。残念ながら結果は僕の望んでいたものではありませんが、ARRC SUGOラウンドに向けてまた1つ良い経験を積むことができたことをポジティブに捉えています。
ST600 #31ブラパ・ワンムーン Burapa Wanmoon
Race 1 予選23番手(タイム:1分44秒860)決勝:19位
Race 2 予選24番手(タイム:1分45秒437)決勝:DNF
事前公開テストで初めてSUGOを走りましたが、アップダウンが多くテクニカルなコースという印象でした。
テストは天気もよかったのですが、レースウイークはドライ、ハーフウエット、ウエットと様々な路面コンディションとなり、思うように攻略できませんでした。しかし厳しいコンディションの中でも少しマシンに慣れてきたので、ライディングスタイルを考え、速く走れるように努力しました。
レース1ではローンチコントロールをうまく使えずスタートで出遅れてしまい、その後は追い上げましたが結果は19位でした。レース2は、SPインコーナーで縁石にマシンをヒットさせてしまって転倒しました。次回はポイント獲得を目指します。