日程・場所
2025年10月25日(土):公式予選・JSB1000 Race 1 天候:雨 コース:ウエット
26日(日):決勝・JSB1000 Race 2 天候:雨 コース:ウエット
三重県・鈴鹿サーキット(1周=5.821km)
観客動員数:13,300人(2日間合計)
JSB1000
4 野左根航汰
Race 1 予選4番手(タイム:2分06秒367)決勝:5位
Race 2 予選4番手(タイム:2分06秒514)決勝:3位
シリーズランキング:4位
ST1000
3 羽田太河
予選2番手(タイム:2分08秒157)決勝:3位
シリーズランキング:チャンピオン
5 荒川晃大
予選3番手(タイム:2分08秒497)決勝:2位
シリーズランキング:5位
ST600
12 鈴木大空翔
予選18番手(タイム:1分52秒798)決勝:12位
シリーズランキング:18位
レース概要

2025年シーズンのフィナーレを三重県・鈴鹿サーキットで迎えた全日本ロードレース選手権。
今回は事前テストがなく、木曜日の特別スポーツ走行からレースウイークがスタートした。
前戦の岡山ラウンドで今シーズン3勝目を挙げた羽田太河は、ST1000クラスのチャンピオンに王手をかけて最終戦を迎えた。
セッションが開始されると、チームメイトである荒川晃大とナカリン・アティラットブワパットと共にコースイン。
コースでは、2人を引っ張りながら、マシン面ではセッティングデータを共有し、相乗効果で上位につけていた。
中でも羽田は、ドライコンディションとなった木曜日、金曜日の全セッションでトップタイムをマークするなど好調をキープしていた。
JSB1000クラスの野左根航汰は、エンジンを中心にアップデートを行い、さらなる戦闘力アップを目指したが、
木曜、金曜と30分の走行が2本しかなく、赤旗でセッションが切り上げられたときもあり、
限られた時間の中でマシンセッティングを悩みながらも進めていった。
週末の天気予報は下り坂だったが、雨の降り方は気まぐれなものだった。
土曜日は朝方まで雨が降っていたものの、雨は上がり、濡れた路面が乾かないまま公式予選が行われた。
JSB1000クラスは40分間あり、一番路面の乾くセッション終盤の勝負になった。
野左根はタイムアタックに入ると難しいコンディションの中で2分06秒台に入れ、
レース1・レース2ともに4番手グリッドを確保していた。
ST1000クラスの公式予選は午後一番に行われ、ほぼドライコンディション。
セッション開始直後の勝負となり、羽田は2分08秒157をマーク。
惜しくもポールポジションは逃したものの、2番手と好位置につけた。
これに荒川とナカリンも続き3番手、4番手をAstemoカラーのHonda CBR1000RR-Rが並ぶ予選結果となった。
JSB1000クラスのレース1が始まる直前に雨は本降りとなりウエットレースとなった。
野左根はスタート直後からマシンに問題が発生。シリーズランキング2位を争っており、
厳しい状況ながらも1ポイントでも多く獲ろうと14周先のチェッカーフラッグを目指した。
一時は8番手までポジションを落としたが、6番手まで挽回。
レース終盤になると雨量が多くなり、転倒するライダーも少なくなかった。
そして最終ラップに入ったところで、またも転倒したライダーがいたため赤旗が提示。
12周終了時の順位で前に赤旗提示後、5分以内に戻ってこられなかったライダーがいたため、
レース1の正式結果は5位となった。
日曜日も朝から雨となり、ウエットコンディションでレース2も行われた。
野左根は得意のスタートダッシュを決めホールショットを奪いトップに立つが、
2コーナーで浦本選手にかわされるが、3コーナーで抜き返しトップのまま西コースに入っていく。
ヘアピンで浦本選手、130Rで水野選手、岩田選手にかわされるが、
シケインで岩田選手を抜き返してオープニングラップは3番手で戻ってくる。
その後、前の2台に果敢についていく野左根だったが、その差はジリジリと開いていた。
しかし4周目に200Rで転倒が発生したためセーフティーカーが導入される。
これで前との差が再び縮まるものの、リスタート後もトップ2に離されてしまい単独3番手を走行。
そのままチェッカーフラッグを受け3位で2025年最後のレースを終えている。
ST1000クラスの決勝は、ウエット宣言で2周減算の10周で争われた。
羽田が好スタートを切りホールショットを奪い、荒川も続き2番手、ナカリンも4番手につける。
しかし3コーナーで國峰選手が羽田をかわしてトップに立つと、一気にペースアップ。
トップを独走していくが、3周目に転倒。かわってトップに立った亀井選手も5周目に転倒と、
暫定ランキング2、3番手のライダーが相次いで戦列を離れる。
労せずトップに立った羽田だったが、後方から来たライダーと無理にバトルはせず冷静に対処。
荒川も羽田の前に出ていくと2位でゴール。
羽田は3位でチェッカーフラッグを受け、見事にシリーズチャンピオンを決めた。

羽田にとっては初のチャンピオン。チームにとっては、
2021年から3連覇を果たした渡辺一馬以来、2年振り4度目のタイトル獲得となった。
ST600クラスの鈴木大空翔はマシンセットに苦戦。
ウエットコンディションでも、いいフィーリングが得られず苦しいレースとなったが、
何とか最後まで走り切り完走を果たしている。
ライダー・監督コメント
伊藤真一 チーム監督 Shinichi Ito Team Manager

「2025年シーズンも最終戦鈴鹿をもって無事に終えることができました。これもAstemo様、Honda様を始めとしたスポンサーの皆さま、メディアなど関係者の皆さま、応援してくださったファンの皆さまのおかげと感謝しております。今回は、難しいコンディションの中で、羽田は、しっかり自分の仕事をし、チャンピオンを獲ってくれました。ST1000は、チームで動き、セッティングの共有や、予選での走りなど、羽田を中心に荒川とナカリンが支え合いながら結果をつかめたことが大きかったです。JSB1000の野左根は時間が足りませんでしたが、Honda様のバックアップもあり、確実に力はついてきていると感じています。トップのマシンやライダーたちも強かったですが、そこに食らいつける手応えも得られました。またAstemo様のサポートがあったからこその結果だと改めて感じました。今年は、より密接な関係を築くことができ、サスペンション、ブレーキ、制御の熟成を図ることができました。「Astemo様と一つのチームとして戦っている」と実感しましたし、心から感謝しています。来年こそはタイトル争いにしっかり絡めるようにシーズンオフに準備して挑みます」
JSB1000 RIDER #4 野左根航汰 KOHTA NOZANE

「今回からエンジンのアップデートも入ったので、まずはその確認からのスタートでした。木曜日はなかなかまと
めきれなかったのですが、金曜の午後にはある程度形になってきて、ペースも少し改善してきた感触がありまし
た。ただ、土曜日は予選がハーフウエットになったり、レース1はウエットとコンディションが安定せず、そこか
ら少し流れが難しくなってしまいました。急にウエットに切り替えなければいけない状況で、正直なところ難しさ
を感じていました。レース1ではトラブルが出てしまい苦しい展開でしたが、なんとか走りきって5位。水野選手、
浦本選手とのランキング2位争いもあったので、少しでも望みをつなぐために、とにかく完走を優先しました。
レース2もウエットでしたが、トップ2のペースが本当に速くて、序盤で前に出たものの抑えきれませんでした。そ
れでも自分の中ではやれることは全部出し切ったと思っています。今シーズンを振り返ると、本当に挑戦の1年で
した。チームも自分もアップデートを重ね、その中でトラブルや転倒があり簡単ではない一年でしたが、得るもの
は大きかったです。今年は「優勝に一番近づけたシーズン」だったと思います。来年こそは、まず優勝をつかみ、
その先にあるチャンピオンを目指して頑張ります」
ST1000 RIDER #3 羽田太河 TAIGA HADA

「本当は最終戦も勝って締めくくりたかったのですが、コンディション的にレインは厳しいのが分かっていたの
で、「とにかくチャンピオンを獲ることだけに集中しよう」と決めて走りました。結果的にその目標を達成でき
て、本当にうれしいですしホッとしています。これもチームが最高のバイクを用意してくださった結果です。ドラ
イコンディションのレースでは、全て勝つことができ、シリーズチャンピオンを獲得できたことは、チームや
Astemoの皆さま、そして応援してくださった全ての皆さまのおかげだと心から感謝しています。本当にありがとう
ございました」
ST1000 RIDER #5 荒川晃大 KOHTA ARAKAWA

「今回は正直あまり調子がよくなくセットアップの方向性にも悩んでいました。ただ、チームと一緒に見直してい
く中で、少しずつ感触がつかめてきて、予選ではまずまずのタイムを出せました。決勝は雨になりましたが、思っ
たよりもフィーリングは悪くなく「もう少しこうしたいな」という課題はありつつも、最終的に2位でフィニッ
シュできました。今シーズンは、車体トラブルや思うようにいかなったときもありましたが、それも含めていい経
験になりました。今年からチームに加わらせていただき、すべてが勉強の連続で、毎戦ごとに自分の課題や成長を
感じられたシーズンでした。何より、考え方やアプローチを柔軟に変えていくことの大切さを実感しました。来年
は今回の経験を活かして、もっと強くなれるように頑張ります」
ST600 RIDER #12 鈴木大空翔 TAKUTO SUZUKI

「木・金のドライコンディションでは、金曜日に入って初日よりだいぶよくなった感触はありましたが、それでも
まだフィーリングがあまりよくなくて、自分の走り方的にも噛み合っていないと感じていました。ウエットも、思
うようにフィーリングにならず、決勝まで流れをつかめずにレースを終える形になってしまいました。ケガの影響
も前半戦はありましたが、後半戦に入ってからはもう問題なく走れていました。それだけに、思うような結果を残
せなかったのは本当に悔しいですし、チームにもご迷惑をかけてしまったなと感じています。それでも、最終戦ま
でしっかり走らせてもいただけて感謝しています。応援してくださった皆さま、本当にありがとうございました」

